位相のずれ 続き

 こうして見てくると、一口に断熱材と呼ばれても、使用用途によって別れる事が理解できます。
 今まで当たり前のように住宅に使われてきた<グラスファイバー>や<ロックウール>は、赤外線や遠赤外線に抵抗値がなく、夏の太陽熱を防ぐには適さないのです。
 北欧のような寒冷地で、夏の太陽は日光浴の対象程度にしかならない地域、日本では北海道や山間部の高地ぐらいが適当でしょう。
 ただし安価に出来るのは、製造物エネルギーを無視した結果ですから、大きな電力を使用する事実を忘れてはいけません。
 私たちは、自然界に生かされている動物です。
 猿や魚や昆虫と同じ生命体なのです。
 生まれて、生きて死ぬ。
 この自然の鎖から放たれることはありません。
 そう考えれば、自ずと何が必要で何が不必要な物,あるいは使ってはいけない物かが判ってきます。
 <衣、食、住>が人間の存続に不可欠な物とするなら、この3要素に自然素材以外の物を持ち込んではいけません。
 それは、人間の思い上がり、若しくは勘違いに他なりません。
 例えば、コンビニで売っているおにぎりの<異常にパリッとしている海苔>の真実。
 空気に触れれば瞬く間に湿気ってしまう海苔は、店頭に置かれて数時間も数日も湿気ることがありません。
 何と枯葉剤を利用してあの魔術を実現しているのです。
 家の建材も然りです。
 日本の家が近年、気密性を高めるに伴って<シックハウス症候群>や<アトピー性皮膚炎>が多発する事態になりました。
 それは、建材として当たり前のように使われている<ビニールクロス>やその<接着剤>さらには、フローリングと称して<接着剤>で固めた<合板建材>から大量に発生するVOC(揮発性化学物質)が原因です。
 1990年頃から顕著になったこの現象は、明らかに新建材によるものですし、欧米先進国では、極めて慎重に扱われて、まず住宅には使われていない代物です。
 ところが、新建材を生産、販売、使用している企業はハウスメーカーを筆頭に官僚を受け入れる天下り機構を持っています。
 そして、欧米並みに規制を掛けたら建材メーカー、ハウスメーカーは大打撃です。
 さすが東大出の官僚と大企業の優秀な経営者諸氏は、ここで一計を案じました。
 24時間の換気をすることにすれば、VOC濃度は一定に保たれる。
 そうすれば、ある程度のVOC発生は問題ないはずだ、と。
 それが、スター制度です。今、日本の新建材の殆どが4スター(F☆☆☆☆)です。
 スター制度は、ホルムアルデヒドなど揮発性物質を発散する建材の使用を制限するもので、4スターはそのなかでも<最上級の厳しい基準をクリアーしている物>です。
それ以下の3スターやダブルスターは、使用する範囲や面積に対する使用量を規制されるのですが、4スターを取ると、使用制限を受けず、どれだけでも使えるのです。
 私が聞いていた範囲では、建材メーカーは当初F☆☆☆☆を達成することは殆ど不可能であり、法律規制が入ると今までの建材は使えなくなるかもしれない、との事でした。
 ところが、実際に法規制が施行されると同時に各社がF☆☆☆☆で出してきて、全く今まで通りの流通状態でした。
 あの騒ぎは何だったのか、業界以外の一般国民には全く知らされない世界で、事態が起き、鎮静化して闇に消えていきました。
 本当に規制値をクリアーしているのでしょうか?
 「出来ない」と言っていたすべてのメーカーが簡単にクリアー出来たのは何故か?
 私は未だにF☆☆☆☆の表示を信用していません。
 VOCには、ホルムアルデヒド以外にも数えきれないくらいの化学物質があるのですが、スター制度では、その内の比較的クリアーし易い物質だけを規制しているようです。
 下地や人体に直接触れることのない場所でもない限り、使用を控えています。
 残念ながら、床下地や屋根下地は、剛性と変形の少なさ故に使用していますが、自然素材、例えば杉板のような物が代用できないか、と研究中です。
 話が横道にやや逸れましたが、いくら性能が高くても断熱材といえども使用場所を考えたいものです。
 現在、ケーズの家では基礎の断熱と外張り断熱に関してはEPS(発泡スチレン)を使っていますが、それはちょうど<下着を木綿のメリヤス>にして<コートにフリーズ>を着ているのに似ています。(ギリギリ許されるかなと思えますが)
 できれば、<下着が面100%でオールウールのセーター>みたいなのが望ましい。
 つまり、今回S邸で使用している<木質繊維系断熱材>で外張りすることで、単純な計算上の<熱抵抗値>だけでなく<熱の位相>により、夏涼しく、冬暖かい家をさらに進化させた。
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by kzhome | 2013-06-25 10:31  

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