店舗と住宅

昨年の10月から掛かっていた店舗「ファームレストラン黒牛の里」が完成しました。

この間、新築住宅はお休みしていました。

弊社が普段建てている住宅のほぼ3軒分の建物です。

お店なので工期は厳しく、4か月で厨房の先行引き渡し、5か月で建物引き渡し、6ヶ月目にはオープンするスピード工事です。

そして、今回のテーマ「100年先も愛される店」として、長耐久な建物にすること。

ならば、一般的な店舗で使われる新建材や装飾は一切使えないことになります。

基礎のコンクリートもいつも通り基礎断熱工法による保護をし、土台に<レッドウッド>を使い、ホウ酸による防蟻処理もします。

外壁構造用面材には<モイス>を使い、最終仕上げには<スイス漆喰>を塗る念の入れ様。

板壁は<レッドシダー>、一部に擬石を使ってはいますが、十分な耐久性を維持しそうです。

屋根瓦は島根県石州で生産されている何とも渋みのある<石州瓦>を使いました。

この瓦は、焼成温度が高く、豪雪地帯の島根県でも凍害の被害が少ないそうです。

この地方三州瓦も釉薬を塗ることで凍害を防ぎますが、焼成温度はそれほど高くありません。そのため、長耐久と言うことになると、疑問が残ることになります。

構造体はツーバイシックスですから、全くと言って良い程、住宅と同じ仕様です。

サッシは、店舗性から木製にしましたが、メンテナンス次第で長持ちするでしょう。

ペアガラスなので、断熱性能もUファクターで<2>を切っています。

壁の断熱は工期と予算から水性発泡フェノールにしましたが、セルロースファイバーの<0.04>に対し<0.032>の熱抵抗値を持っていますので、十分な性能を期待出来ます。

冷暖房機器のスペック(能力)が小さくて済むことは、光熱費の抑制にもなるわけですから、コスト削減に繋がります。

実際に、当初設備設計されていた冷暖房機の能力26馬力から16馬力に変更でき、それでも最少の運転エネルギー(省エネ運転)で可能な暖房力が実証出来ました。

夏の冷房時はまだ実証出来ませんが、屋根パネルに<シップスパネル>を採用。

これは、ツーバイシックスの厚みの中(140ミリ)に発泡スチレンを充填し、防蟻処理したOSB合板でサンドイッチしたもので、断熱性能は<0.032>を誇ります。

この夏はエルニーニョ現象で冷夏の長期予想ではありますが、どうなるか楽しみです。

ソーラーパネルを幾らつけても、冷暖房エネルギーの無駄遣いをしたのでは、追いつきません。

全国にあるコンビニエンスストアで、ペアガラスの建物などあるでしょうか?

大きなガラス面を持っていて、冷蔵庫はオープンのまま使用していますね。

恐ろしい程の熱エネルギーロスをしているのですが、照明器具を蛍光灯からLEDに替えたり(消費電力的には1Kw未満)、夜間の照明を少なくして、「省エネに協力しています」みたいなジェスチャー?に呆れるのは私だけでしょうか?

いや単に知らないだけかもしれませんが。

さて、本題の店舗と住宅のお話に戻ります。

今回のような郊外型の独立店舗では、<冷暖房の質>の良し悪しはとても重要と考えます。

<冷暖房の質>とは、どういう意味か?

よく見かける天井カセット式エアコンは、冷房時は下へ吹き出すことにより、そこそこ効き目があるのですが、暖房時には、天井が高ければ高いほど、上昇気流により、熱は天井部に集まり、足元まで来ません。従って、暖房の効きが極めて悪くなってしまうのです。

エアコンの設定温度をいくら上げても、温まるのは天井ばかりで、足元に暖かさは来ません。

これでは、ゆっくり食事どころではなく、冷えたビールなどとんでもない事です。

また、石油ファンヒーターなどでは、嫌な風が対流し、空気を汚す原因を作ってしまいます。

大型の自立型エアコンは、遠くの人には快適ですが、エアコンの前だったりすると、風と音のダブルパンチで大変です。

まして、床暖房のような非効率な暖房ではランニングコストが持ちませんし、冷房仕様が有りません。

では、どうすればいいのか?

百貨店や高層オフィスで使われる、ファンコイルユニット式冷暖房にするか、温水又は冷水をパイプに流して冷暖房するパイピングシステムのいずれかしかありません。

前述のファンコイル式は、実は住宅の全館空調システムで使っている方法です。

熱源機を室外に置いて、冷媒管を伝って室内のコイルに送り、そこで温めたり、冷やした空気を送風機を使って天井や壁から吹き出し、送風機の負圧を利用して、床付近や壁からリターンさせ、また温めたり、冷やした空気となって、部屋中をめぐらすのがそれです。

パイピングシステムは、空気を動かさず、室内にむき出しのコイル状の物を直接温めた温水や冷水で暖冷房するシステムです。空気を一切動かさないのが特徴です。

この方式は主に寒冷地のヨーロッパが主流で、冷房時にはパイプに結露が生じるので、知多半島のような、高温多湿になる夏には、不向きと言わざるを得ません。

コストも一番高くつきます。寒冷地の北海道やヨーロッパには向いているかも知れません。

そこで、採用したのは、ファンコイル式の冷暖房システムでした。

快適な空間で食事をする。見た目だけでなく、空気も大切であり、テーブルや椅子などの肌に触れる全ての物が心地良くあるべき、と考えました。

(設計の成田氏は、「心地良いと長居するので、お店には良くない」と言ってましたけど)

地下街の喫茶店ならいざ知らず、2千円以上の食事をする店の椅子が快適で無い方が良いとはとても考えられません。

店舗なのにまるで住宅のような仕様にしたのは、食事をする店だからです。

非日常的な空間でありながら、我が家のような寛ぎを感じる店。それが目標でした。

是非、一度お立ち寄り頂き、感想を頂戴出来れば幸いです。


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by kzhome | 2014-03-19 16:28  

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